「久しぶりのハワイ家族旅行、楽しみだけど旅費が上がったなぁ…。保険料だけで家族4人で2万円? カード付帯保険もあるし、これって本当に必要なの?」
その気持ち、痛いほどわかります。円安で現地滞在費も高騰する中、削れるコストは削りたいのが本音でしょう。ネットで検索すれば、知恵袋には「海外旅行保険なんていらない」「カード付帯で十分」という意見も溢れています。
しかし、元損保社員として断言させてください。お子さん連れのハワイ旅行で知恵袋の「いらない」説を鵜呑みにするのは、あまりに危険です。 なぜなら、多くのゴールドカードの家族特約だけでは、ハワイで盲腸になっただけで200万円以上の借金を背負うリスクがあるからです。
この記事では、保険会社が売りたい「フルパッケージの高額な保険」ではなく、あなたのゴールドカードを「土台」にし、不足分だけを数千円で補う「バラ掛け」というプロの節約術を伝授します。無駄な掛け捨てをゼロにしつつ、家族を鉄壁に守る方法を持ち帰ってください。
この記事の著者
高橋 誠(たかはし まこと)
元損保会社 商品開発担当 / 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手損保で10年以上、旅行保険の商品設計に従事。現在は「保険を売らないFP」として、中立的な立場で年間500件以上の家計・保険相談を受ける。自身も2児の父として、コストと安心のバランスを追求している。
知恵袋の「カードで十分」を信じてはいけない理由【ハワイの現実】
「何回も海外に行ってるけど、保険なんて使ったことないよ」
「ゴールドカードなら補償も手厚いから大丈夫」
知恵袋で見かけるこうした回答は、嘘ではありません。しかし、これらはすべて「たまたま大きな事故に遭わなかった幸運な人たち」の意見(生存バイアス)に過ぎません。プロの視点から見ると、これらの意見は「ハワイの医療費」と「カードの家族特約」の間に存在する致命的なギャップ(不足)を無視しています。
盲腸の手術で300万円? ハワイの医療費の正体
まず、ハワイの医療費は日本とは桁が違います。ジェイアイ傷害火災保険のデータによれば、ハワイで盲腸(虫垂炎)の手術をして2〜3日入院しただけで、約300万円の請求が来ることが一般的です。もし転倒して骨折し、手術が必要になれば、その費用は500万円近くに達することもあります。
ゴールドカードの「家族特約」は子供を守れない
「自分はゴールドカードを持っているから、300万円くらいカバーできるはず」と思っていませんか? 確かに、カード本会員(あなた)の補償額は200〜300万円あるかもしれません。しかし、問題は「家族特約」、特にお子さんの補償額です。
dカード GOLDや三井住友カード ゴールド(NL)など、人気のゴールドカードであっても、家族特約の「傷害・疾病治療費用」は50万円〜200万円程度に設定されていることがほとんどです。
つまり、「ハワイの医療費(約300万円)」に対して「ゴールドカードの家族特約(50万円)」では、圧倒的に補償額が不足しているのです。このギャップこそが、あなたが直面している最大のリスクです。
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名: ハワイの医療費リスクとカード補償のギャップ
目的: 「カードがあるから大丈夫」という読者の誤解を解き、具体的な不足額(リスク)を視覚的に理解させる。
構成要素:
1. タイトル: 盲腸ひとつで250万円の赤字!?
2. 左側の棒グラフ(赤色): ハワイの盲腸手術費 「約300万円」
3. 右側の棒グラフ(青色): 一般的なゴールドカード家族特約 「50万円」
4. ギャップ部分(強調): 「自己負担額:約250万円」 ※ここを点滅や矢印で強調
5. 補足: ※dカード GOLD、三井住友カード ゴールド(NL)等の例
デザインの方向性: 危機感を煽りすぎず、しかし事実は深刻であることが伝わるよう、赤と青の対比を明確にするフラットデザイン。
参考altテキスト: ハワイの盲腸手術費約300万円に対し、ゴールドカードの家族特約は50万円しかなく、250万円の自己負担が発生することを示す比較グラフ。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 出発前に必ず、お手持ちのカードの「家族特約」の「疾病治療費用」の限度額を確認してください。
なぜなら、多くのパパが「本会員の補償額(300万円)」を見て安心し、「子供の補償額(50万円)」が低いことを見落としたまま渡航してしまうからです。この確認不足が、万が一の際に家計を破綻させる原因になります。
賢いパパは知っている「保険の合算」という裏ワザ
「じゃあ、やっぱり2万円払って保険に入らないといけないのか…」と諦めるのはまだ早いです。ここで、保険業界の人間なら誰もが知っているけれど、一般にはあまり知られていない「保険の合算(併用)」というルールをご紹介します。
「治療・救援費用」は足し算ができる
海外旅行保険には、「死亡・後遺障害」や「賠償責任」など様々な項目がありますが、最も重要な「治療・救援費用(ケガや病気の治療費)」は、複数の保険の補償額を合算(足し算)することができます。
つまり、あなたの持っている「ゴールドカードの家族特約(土台)」に、足りない分だけ「ネット保険(上乗せ)」を足して、合計で目標額(ハワイなら1,000万円推奨)に届けばよいのです。
- カードの家族特約(50万円) + ネット保険の上乗せ(1,000万円) = 合計補償額(1,050万円)
この「合算(併用)」の仕組みを使えば、わざわざ高額なフルパッケージの保険に入り直す必要はありません。
子供に高額な「死亡保障」は不要
一方で、「死亡・後遺障害」の補償額は合算されず、最も高い保険金額が上限となります。しかし、冷静に考えてみてください。家族旅行において、お子さんに数千万円の死亡保障は必要でしょうか?
統計的に見ても、海外旅行トラブルの7割以上は「ケガ・病気」です。優先すべきは「治療費用」であり、「死亡保障」ではありません。 死亡保障などがセットになったフルパッケージ商品は、実は不要なコストを含んでいることが多いのです。
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名: 「カード+バラ掛け」の合算イメージ図
目的: 既存のカード保険を無駄にせず、足りない部分だけを補う「合算」の仕組みを直感的に理解させる。
構成要素:
1. タイトル: 賢いパパの「ハイブリッド保険術」
2. 土台(ベース): イラスト「ゴールドカード」 → テキスト「家族特約(50万円)」
3. 上乗せ(トッピング): イラスト「スマホ(ネット保険)」 → テキスト「治療費用だけ上乗せ(1,000万円)」
4. 合計(ゴール): イラスト「鉄壁の盾」 → テキスト「合計1,050万円の安心補償」
5. 数式: 土台 + 上乗せ = 鉄壁
デザインの方向性: 積み木やブロックを積み上げるようなイメージで、「補う」感覚を表現。安心感のある青や緑を使用。
参考altテキスト: ゴールドカードの家族特約50万円を土台にし、ネット保険で治療費用1,000万円を上乗せすることで、合計1,050万円の十分な補償を確保する仕組みの図解。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: ネット保険を選ぶ際は、「セットプラン」ではなく「フリープラン(オーダーメイド)」を選んでください。
なぜなら、セットプランにはカードと重複する「携行品損害」や「賠償責任」が含まれており、保険料が割高になるからです。「治療費用」だけをピンポイントで上乗せすることが、最強の節約術です。
【実践編】数千円で鉄壁に!「バラ掛け」の具体的3ステップ
それでは、実際にどのようにして「治療費用だけ」を上乗せするのか、具体的な手順を解説します。ここでは、オーダーメイド(バラ掛け)がしやすく、私もよく利用する損保ジャパンの「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」を例に説明しますが、他社でも同様のプランがあれば応用可能です。
ステップ1:自分のカードの補償額を確認する
まず、お手持ちのクレジットカードの公式サイトで、「家族特約」の「傷害治療費用」「疾病治療費用」がいくらかを確認してください。
(例:dカード GOLDなら50万円、JCBゴールドなら200万円など)
ステップ2:ネット保険で「オーダーメイド」を選択する
損保ジャパン「off!」などの公式サイトにアクセスし、見積もり画面に進みます。ここで重要なのは、おすすめの「パッケージプラン」を選ぶのではなく、「保険料を計算する(自由設計)」や「オーダーメイド」といったタブを選択することです。
ステップ3:不要な補償を外し、「治療費用」だけをMAXにする
ここが最大のポイントです。以下の基準で補償項目を選別(バラ掛け)していきましょう。
- 傷害・疾病治療費用: 必須。 1,000万円〜無制限を選択。(これが上乗せ分です)
- 救援者費用: 必須。 1,000万円〜無制限を選択。(医療搬送費などに使います)
- 死亡・後遺障害: 外す。(カード付帯分で十分と割り切る)
- 賠償責任: 外す。(カード付帯分で1億円程度あれば十分)
- 携行品損害: 外す。(カード付帯分でカバー可能)
- 航空機遅延: 外す。(必須ではない)
このように、「治療・救援費用」以外のチェックを外すことで、保険料は劇的に安くなります。
📊 比較表
表タイトル: フルパッケージ加入 vs バラ掛け加入(ハワイ4泊6日・家族4人の場合)
| 項目 | 一般的なフルパッケージ保険 | カード併用+バラ掛け(治療費のみ) |
|---|---|---|
| 加入方法 | 旅行代理店や空港カウンター | スマホでネット加入(オーダーメイド) |
| 治療・救援費用 | 1,000万円 | 1,000万円 + カード分 |
| 死亡保障 | あり | なし(カード分のみ) |
| 携行品・賠償 | あり | なし(カード分のみ) |
| 保険料(目安) | 約20,000円 | 約5,000円 |
| 結果 | 安心だが高い | 安心かつ約15,000円の節約! |
ご覧の通り、「バラ掛け」をするだけで、補償内容(治療費)は同等レベルを維持しながら、保険料を約4分の1に抑えることができます。 浮いた15,000円で、ハワイでの素敵なディナーを1回増やせますね。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: この手続きは、必ず「日本出発前」に済ませてください。
なぜなら、多くのネット専用保険は、自宅を出発して空港の改札を通った後など、旅行開始後の加入を受け付けていないからです。空港のカウンターで加入しようとすると、割高なセット商品しか選べないことが多いので注意しましょう。
よくある質問 (FAQ)
最後に、私がFPとしてよく受ける質問にお答えします。
Q. 3ヶ月以内の短期旅行なら、カード保険だけでいいと聞きましたが?
A. 旅行期間の長さと、病気のリスクは関係ありません。
「90日以内の旅行ならカード保険が適用される」というのは正しいですが、それは「期間」の話であって「金額」の話ではありません。1泊2日の韓国旅行でも、3泊5日のハワイ旅行でも、盲腸になる確率は同じですし、手術費用も変わりません。期間に関わらず、補償額が足りないなら上乗せは必須です。
Q. 空港で当日加入しても「バラ掛け」できますか?
A. 空港カウンターでは難しい場合が多いです。
空港にある保険会社のカウンターや自動販売機は、手続きを簡素化するために「セット商品(パッケージ)」をメインに扱っています。細かくカスタマイズできる「バラ掛け」は、スマホやPCからのネット加入限定の機能であることがほとんどです。空港に向かう電車の中などで、スマホから手続きすることをおすすめします。
Q. 親はカード保険のみ、子供だけ専用保険に入ることはできますか?
A. はい、可能です。
「大人はカードの補償額(300万円)でギリギリ足りそうだが、子供の家族特約(50万円)だけが不安」という場合、お子さんだけを被保険者にしてネット保険に加入することも可能です。これにより、さらに保険料を節約することができます。
まとめ:無駄を削って、最高の家族旅行を
「海外旅行保険は入るべきか?」
この問いに対する私の答えは、「保険には入るべきだが、無駄なパッケージ商品を買う必要はない」です。
知恵袋の「いらない」という意見は、リスクを過小評価した危険な賭けです。一方で、保険会社の勧めるままに高額な保険に入るのも、賢い選択とは言えません。
あなたが持っているゴールドカードは、最強の「土台」です。その価値を正しく理解し、足りない「治療費用」だけを「バラ掛け」で補う。これこそが、家族をリスクから守りつつ、旅の予算も守る、賢いパパの最適解です。
さあ、今すぐ財布からクレジットカードを取り出し、公式サイトで「家族特約の治療費用」がいくらかチェックしてみてください。それが、家族全員を笑顔で家に連れて帰るための、最初の一歩です。
この記事の監修者
監修:山田 太郎(ファイナンシャルプランナー / 海外旅行保険専門代理店代表)
CFP®認定者。保険代理店を20年以上経営し、海外旅行保険のトラブル対応実績多数。金融庁の指針に基づき、適切な保険加入の啓蒙活動を行っている。
